『子ども達が水の動きへの気づきから、遊びの広がりや新たな興味への発展をねらいとして活動を行った。』
対象:年長20名
〈1回目〉令和7年6月25日(水)
七夕の話に触れる中で、天の川を作って星を流したいという計画を子ども達の声から拾い上げ、活動をすることになった。天の川の素材として、半分に切ったペットボトルを子ども達に配った。子ども達は、油性マーカーで思い思いに天の川を表現する事を楽しみ、その後、養生テープでペットボトルをつないで天の川を作る活動を行った。子ども達は、テープの本数が限られていることに気がつき、自然と押さえる人、テープを切る人、テープを貼る人等役割分担しながら友達と声を掛け合い協力する姿がみられた。



〈振り返り〉
ペットボトルをつなげる際に人数分ではなく、グループ毎にテープを配ったことで、子ども達は周囲の様子を見ながら自分にできる役割を考え、主体的に活動に関わる姿を見せた。道具の数を調整する事で、主体的な関わりや協力を生み出すきっかけとなった。
〈2回目〉令和7年6月30日(月)
ペットボトルで作った天の川に水を流す活動を行った。傾斜を作る為に、段ボールで土台をつくることを計画した。子ども達は、様々な大きさの段ボールを選び、傾斜になるように見比べながら土台をつくっていった。土台が出来て天の川を設置して水を流すと、ペットボトルの継ぎ目から水が漏れだした。段ボールが水を吸い形をとどめられなくなった土台は、崩れてしまった。その様子を見ていた子ども達からは、素材や構造に目を向ける姿が見られた。



〈振り返り〉
「どうすれば水が漏れないか。」という問いに、子ども達から「流れる方向にちゃんとつなげないとだめ。」「隙間が無いようにしないといけない。」と水の流れを意識した意見が出た。また、段ボールが水に弱い事に気が付いたことから「プラスチックの台を使いたい。」という意見が出た。次の活動では、天の川をつなぎ直すこと、土台の素材を変えて取り組むことを決めることが出来た。
〈3回目〉令和7年7月1日(火)
前の反省を踏まえて、天の川を作り直した。前回、天の川が長いことで土台の組み立てや設置が難しかった為、担任は天の川を二つに分けて短くすることを提案した。二つのグループに分かれて短く作り直した。



〈振り返り〉
水の流れ方を見た経験から、わずかな隙間からでも水が漏れる事に気が付いた。どうすれば漏れないで水を流すことが出来るのか考える事が出来た。
次回は、土台をプラスチック製のものに変更して行うことを確認した。
〈4回目〉令和7年7月2日(水)
つなぎ方を見直した天の川と材料を変更した土台で実際に水を流す活動を行う。プラスチック製の素材ということで、保育室にあるゲームボックスとソフト積み木を選んだ。まず、ゲームボックスを並べ、その上にソフト積み木を置いて傾斜をつくろうとする姿が見られた。傾斜の作り方に悩みながら、試行錯誤を繰り返す姿が見られた。土台が完成した後、天の川を置いてみたが土台が不安定であった為、置いただけでも崩れてしまいそうになった。水を流すと案の定崩れてしまい、「下を安定させないと。」と子どもたち自身が課題に気が付き、倒れた部分を作り直しながら挑戦していた。しかし、安定した土台と十分な傾斜を作ることが難しく、水は途中までしか行きつくことが出来なかった。作り直した天の川は、水漏れが減っていた。しかし、繰り返し挑戦する中で、つないでいたテープが水で剝がれ、壊れてしまった。ここで活動を中断し話し合いを行った。「なぜ土台が崩れてしまったのか。」という問いに子ども達からは、「積み木の形が不安定だった。」「しっかり斜めに作る。」「上に物を載せても大丈夫なように、積み木の形を考える。」といった改善点が上がった。「なぜ天の川が壊れたのか。」という問いには、「水にぬれてテープが弱くなった。」と水とテープの相性に気が付いた。「違うもので留めたい。」という意見が出たので、担任はホチキスを使うことを提案した。最後に土台の安定性や傾斜を意識して取り組む事を確認して終えた。



〈振り返り〉
前回の反省から土台の素材を変更したものの、傾斜を作る事ばかりに意識が向いてしまい、天の川を置くことを想定した土台作りが不十分であった。実際の活動を通して、積み木の形状と安定性の関係に子ども達自ら気が付く事が出来たことは大きな学びにつながった。また、完成形を想像しながら作業していくことの難しさにも気がつくことが出来た。
〈5回目〉令和7年7月4日(金)
二チームに分かれて土台作りを始めるとそれぞれのチームで意見が分かれ、組み立て方に違いが見られた。Aチームはゲームボックスを一列に並べ、その上に積み木を使って緩やかな傾斜を作った。Bチームは、ゲームボックスを手前から1台、真ん中に2台、後方に3台重ねて大きな傾斜を作った。それぞれの天の川に水を流してみると、Aチームは土台を安定して作る事ができ、天の川も安定して置く事ができたが、傾斜が緩やかなうえにところどころ積み木が無い所があり、天の川がへこんで流れにくくなっていた。それを見て子ども達は、積み木を調整しながら隙間を埋めていた。Bチームは、ゲームボックスの高さの差が大きく、天の川を置くと調整が難しいようだった。何も支えがない空間が出来てしまった事から、水を流すと水の流れは勢いは良かったが、安定せずに倒れてしまった。二チームの天の川を見せながら、子ども達から意見を聞いた。Aチームからは、「水は流れるけれど、坂が緩い所やまっすぐなところがあるから、すごくゆっくり流れる。」といった意見がでた。Bチームからは、「凸凹して天の川が落ちてしまう。」「途中でペットボトルがへこむ。」「水の流れは、速い。」という意見が出た。「なぜペットボトルがへこむの。」と問いかけると、「下に土台が無いから。」「水が重たいから。」という気づきが共有された。「どうすれば良くなるのか。」と問いかけると、「土台を安定させる。」「土台に隙間をつくらない。」「傾斜を大きくする。」といった意見が出た為、次回に生かしていくことを確認して活動を終えた。



〈振り返り〉
今回の活動を通して子ども達は、傾斜、高さ、安定性のそれぞれが水の流れに影響することを実感する事ができた。両チームの水路を見比べることで問題点が明確になり、子ども達に気づきをもたらした。実際の体験から、どの程度の傾斜が必要なのか、傾斜があっても、下に支えがないと水の重さでへこんでしまうこと、水の重さと素材の強度との関係に気が付く様子が見られた。知識だけでなく、実際に体験することの大切さを感じる活動となった。また、目の前で起きている問題から、子ども達が考え、答えを導き出せるように問いかけをすることで、子ども達の集中力が上がり、主体的に考えて行動する姿が見られた。
〈6回目〉令和7年7月7日(月)
前回の反省点を振り返った後、天の川で星を流す活動を行った。活動を始めると水路の下に隙間をつくらないように、積み木の形を選びながら土台をつくる様子が見られた。両チームともに早く土台をつくる事ができた。天の川に水を流してみると水路が倒れることなく、安定して流す事ができた。流す星は、牛乳パックを切り取って絵を描いたものを用意していたが、ペットボトルの凹凸に引っかかり、上手く流れなかった。さらに小さく切ってみるなど工夫を試してみていたが、流れ切らずに悩んでいるようだった。「他に流れやすそうなものはないか。」と問いかけると、「スズランテープはどう。」という意見が出たので、与えてみると上手く流す事ができた。その後、スズランテープを細く裂いた方が早く流れるという発見もしていた。



〈振り返り〉
天の川で星を流す活動は、今回が最後であった。毎回の活動で見つかった課題を子ども同士で考え、試し、改善をする姿が積み重なっていった。傾斜の必要性や土台の安定性、水の流れの仕組みに理解が深まり、完成のイメージを持って主体的に取り組む姿が見られた。
〈7回目〉令和7年9月25日(木)
天の川づくりの経験をいかして、砂場にくみ上げ式のポンプを設置し水路をつなげて水を流す活動をした。子ども達と砂場を見渡し、ポンプを設置するスタート地点と水路の到達点のゴール地点を話し合って決めた。活動では、水路を作る係、水を運ぶ係、ゴールの池を掘る係等、それぞれが自分の作業を見つけて取り組む姿が見られた。傾斜の全てを砂で作ろうと大きな山を築いて、かなりの労力と時間がかかっていた。ポンプの蛇口が高い位置にあり、どのようにして水路につなげるか試行錯誤していた。砂だけでは高さを出すことが難しいと気が付いた子ども達は、バケツをひっくり返して重ねて高さを出す工夫が見られた。しかし、水路とバケツはプラスチック製であった為、お互いが滑ってしまい安定して置く事が難しかった。何とか水路をつなげて水を流したが、不安定で水の流れも悪かった。「水を上手く流すにはどうしたらよいか。」との問いに、「もっと高くする。」「砂を盛って山を大きくする。」という意見が出た。蛇口から水路をつなげるのにはバケツを使っていたが、水路の土台には砂を使わなくてはいけないと思い込みがある様子だった。思い込みを自らが取り払って工夫して欲しかった為、答えを与えず今後を見守ることにして終了した。



〈振り返り〉
プラスチック製品同士が滑り合って、設置するのに苦労していた。新たな素材での活動から、天の川づくりでの経験とは違う結果を実感していた。また、砂を盛る事に固執して時間と労力がかかっていた。何を使って省力化するか、子ども達の発想を大事にしたい。
〈8回目〉令和7年9月26日(金)
前回の振り返りをしたあと、タイヤも道具の中に加えて活動を始めた。活動が始まるとそれぞれに自らの役割を見つけて取り組み始めた。ポンプの蛇口と水路をつなぐ場面では、前回と同様にバケツを重ねて水路を置いたが崩れてしまった。「他に使えそうなものはないかな。」と声を掛けると、周囲を見渡してタイヤを選ぶ姿が見られた。タイヤは大きく滑りにくいが、自立しなかったので斜めに寄り掛けて並べて土台にしていた。タイヤが動かないように砂で固定する工夫も見られた。上流の土台作りでは砂山を作り始めていたが、タイヤを使った事で余ったバケツに気が付いた子ども達は、山の上にバケツを置いて高さを出そうとする姿が見られた。しかし、前方、中央、後方と別々に山を作っていたことで水路がずれ、つなぎ直したり、作り直す場面がみられた。バケツの上に水路を置くと滑る問題に、砂をかませて水路を置くことで安定させる工夫が試された。水路は伸びていったが、ゴールの手前で地面について傾斜が取れなくなってしまった。悩んでいると「掘って坂にしたらいい。」という意見が出て、掘り進めたが時間が切れてしまって活動を終了した。



〈振り返り〉
今回の活動では、水路の高さや傾斜だけでなく土台の安定性や素材の違いが水の流れに大きく影響する事を試行錯誤して学ぶ姿が見られた。特に、タイヤやバケツ、砂といった素材の特性を考えながら、より良い方法を考える姿が印象的であった。子ども達同士が話し合いながら改善しようとする姿が多く見られ、これまでの活動の積み重ねが活かされていると感じた。また、活動の終わりには、蛇行した水路をみんなで確認する中で、水路の全体像を事前に共有することの大切さに気が付いた。計画性を持つ事が次の課題として明確になった。
〈9回目〉令和7年9月29日(月)
前回の活動で出た「水路を作る場所を始めに決めておく。」「地面についてしまったら、掘って傾斜を作る。」を確認してから活動に入った。活動が始まると子ども達は、役割を分担しながら主体的に取り組む姿が見られた。これまでの経験を活かしながら、子ども達は手際よく水路づくりを進めていった。これまでの反省を意識しながら作業を進めたことで、水路をつなげる事ができた。水を流してみると、水路は途中で崩れることなくゴールまで流す事ができた。さらに、小さなボールを流してみると水路全体での水の速さや流れ方の違いが見て分かり、子ども達は興味津々で見つめていた。最後に活動の振り返りをした。子ども達からは、今までの活動での多くの気づきがあげられ、改めて学びを共有する事ができた。



〈振り返り〉
これまでの経験を通して、子ども達は水の流れに必要な条件や安定した水路を作るための工夫を理解し、自分で考えて行動する場面が多く見られた。特に活動前に見通しを持つことの大切さや上手くいかない時の対処方法を話し合い、アイディアを出し合いながら取り組む姿が印象的であった。最後まで水を流す事ができた達成感を味わい、自分達の工夫や気づきを共有した事で探求的な学びの深まりを感じた。活動の積み重ねにより、子ども達の自信と意欲につながる最終回となった。
『野菜の栽培を通して、その育ちを観察するとともに様々な疑問や発見を見つける活動を行った。』
対象:年長20名
〈活動期間〉
令和7年4月~9月
4月 土作り 野菜の苗植え
5月~6月 水やり 野菜の収穫
6月 サツマイモの苗植え 観察画
9月 サツマイモの収穫と観察 芋スタンプ サツマイモ畑での芋掘り体験
〈活動内容〉
野菜の土作りを行い、キュウリ、ミニトマト、ナスを育て、育ち方や収穫、種の様子などを観察していく。
子ども達には、野菜を育てるための土と普段遊んでいる土との違いについて伝え、子どもたち自身で土に触れ、感触を確かめながら畑の土作りを行った。キュウリ、ミニトマト、ナスの苗を見せ、それぞれの違いについて観察をした。葉の形や色の違いに気づき、子ども達は苗を見比べる中で理解を深めていった。輪番で水やりを行い、育つ過程やどこに野菜が出来るのかを観察しながら育てていった。収穫した野菜は、順番に持ち帰ることにした。いつの間にか大きく育ったキュウリを見た子ども達から、キュウリはどこまで大きく育つのか、どのような変化を見せるのかといった疑問があがった。みんなで考察して観察をすることにした。植物や野菜の図鑑を見る中で、野菜にもいろいろな野菜がある事に気が付き、サツマイモの苗の育ちにも興味を持った。苗の育ち方を観察するとともに、9月に畑に行きサツマイモの収穫を行った。また、土で野菜を育てていたが、子ども達から「綿を水で浸して、種を置いておくと芽が出る。」という意見があり、実際に花の種で芽が出るのかを確かめる活動を行った。
〈活動中の子どもの姿〉
始めに「野菜を育てるためには何が必要か。」と子ども達に問いかけると、「土と種と水」という意見が出た。「砂場の土でも育つかな。」と尋ねると「育つ。」「育たない。」と答えが割れたので、畑の土を実際に子ども達で作ることになった。畑の土には黒土、赤玉土、腐葉土を混ぜて作ることをつたえ、それぞれの土の持つ役割について話した。野菜も土の中で呼吸していること、土に含まれた水と栄養を吸収していることを分かり易いように伝え、子ども達は興味を持って理解を深めていった。実際に土を混ぜると「葉っぱが入っている。これが栄養になるんだね。」「冷たくて気持ちいい。」「つぶつぶが入っている。これで息が出来るんだね。」など土の違いを肌で感じながら楽しんで取り組んでいた。土を大型のプランターに運ぶ時には、シャベルとバケツを使いながら、協力して畑づくりを行っていた。道具は人数に対して少し不足するくらいで用意した。子ども達は、「土を入れる人」「土を運ぶ人」「畑で土をならす人」など、自分で役割を考えながら作業を進める姿が見られた。



畑作りの2週間後に苗植えを行った。ナス、キュウリ、ミニトマトの苗を見せてそれぞれの違いを観察した。「茎の色が違う。ナスは紫色になっていて、ナスの色をしている。」「キュウリとトマトの色は似ているね。でも、葉っぱの形が違う。」「キュウリの苗はちょっととげが出ているね。」と、それぞれの特徴に気が付きながら観察していた。苗を植えてからは、毎日水をあげながら成長の様子を観察していった。
1週間ほど経ったころ、一番最初にキュウリの花が咲き「お花が咲いてる。」「お花の下に小さな実がなっている。」といった発見があった。その後、ミニトマトやナスにも花が咲き、花の後に身を付けていく様子を観察する中で、「野菜はお花が咲いた後に実が出来るんだね。」と理解を深めていった。5月には野菜の初収穫を迎えた。キュウリを収穫する際に切り口から水分があふれ出る様子を見て「わー。お水が出てきた。」「新鮮だね。」と驚く姿が見られた。



また、子ども達は野菜を育てている経験から、植物への興味が広がっていった。園庭にある花を図鑑で調べたり、お部屋の前に咲いていたビオラとマリーゴールドの花を使って押し花を作ったりして楽しんでいた。その後、花が枯れると「お花枯れちゃったね。」と残念そうにしていたが、枯れた花を摘んで触っていたところ、マリーゴールドの花の下の部分に沢山の種がある事に気が付いた。そのことをクラスで共有した。そして、野菜が出来るのも花が枯れた後である事や花の種も花が枯れた後にできるといった発見を伝え合った。これをきっかけに子ども達は図鑑を見ながら様々な植物に興味を持つようになった。図鑑を見ている中で、植物には様々な実の付け方がある事や、根菜など育て方が異なるものがある事にも気が付いた。野菜の育て方を見ている時に、土が無くても綿を水に浸して種を置くことで芽が出るという方法を知っている子どもがいた。そこで、その方法をみんなに伝えると「そんなことできるの。」と半信半疑ながら興味を持つ姿が見られた。これを確かめるため、花の種を綿で育てて観察していくことになった。毎日、水を変えながら観察をしていった。1週間ほど経ったころ、種から芽が出始めた。子ども達は「すごい。本当に出た。」「土が無くてもできるんだ。」と他の方法でも植物が育つことを体験する事ができた。花の成長を促進するために栄養剤を添加したが、栄養剤が合わなかったのかその後枯れてしまい、この活動は終了となった。



子ども達は、植物にも様々な栽培方法がある事を体験した、ここで子ども達の興味を引き付けるサツマイモの栽培計画を実行に移すことにした。6月に土のう袋に培養土を入れてサツマイモを栽培し、土の中でどのように育つのかを観察する。まず、子ども達に培養土を入れた土のう袋とサツマイモの苗を何も伝えずに見せてみた。子ども達は土作りの経験から「それ、野菜の土だ。」「何を植えるの。」と見ただけで気が付く事ができた。サツマイモの苗を見せると「それは何の野菜。」「触ってみたい。」「どんな匂い。」と五感を使いながら観察をする姿が見られた。サツマイモの苗を観察していくと「茎が紫だ。」という意見が出た。ナスの経験から「じゃあナスだ。」という発言があった。そこで「なるほど。ナスと葉っぱは同じかな。」と問いかけると、「ちがう。ナスの葉っぱはもっと大きいよ。」「じゃあ、紫キャベツ。」「紫のカブ。」と紫色の野菜と予想を立てていた。その中で「サツマイモかなぁ。」という意見が出たので、図鑑を見せながら確認させるとサツマイモである事が分かった。サツマイモの育ち方を図鑑で見ていった。苗と言っても切って摘まれた茎に数枚の葉っぱが付いたものを見て、「本当にこれでサツマイモが出来るの。」と半信半疑の様子が見られた。実際に育てて、確かめてみることになった。



苗を植えてから1週間ほど経つと、葉が少し大きくなり、つるも伸びてきたので観察を行った。「葉っぱはどんな形かな。」「どんな風に葉が出ているかな。」「色はどうかな。」などと子ども達に問いかけていくと、子ども達からは「ハートの形をしている。」「茎が茶色っぽくて、少し紫色だね。」「葉っぱにも模様があるよ。」「模様の形は、上から下に下がっている。」「葉っぱにも少し紫色になっているところがある。」など自分の気が付いたところを伝え合っていた。子ども達の気づきを黒板にイラストで描きながらクラス全体に伝えた。その後、観察画を描く活動では、気が付いた点を意識しながら絵を描く姿が見られた。



野菜の収穫も引き続き行っていた中で、一つだけ大きくなりすぎてしまったキュウリがあった。「このキュウリはどうなるんだろう。」と子ども達から疑問が出た為、クラス全体に問いかけてみた。子ども達からは「大きなスイカになる。」「大きくなって中がはじけて種が出てくる。」など様々な意見が出たので、このまま育て続けて観察することになった。日に日に大きくなるキュウリの様子を子ども達は毎朝観察していった。「スイカみたいになるかな。」と楽しみにしていたが、次第に割れ目が出来てきた。「ここから種が出てくるかも。」と考える姿も見られた。キュウリの色は徐々に黄色くなり、実も柔らかくなっていった。子ども達は、「どうなるんだろう。」と期待を持ちながら観察を続けた。8月下旬、ちょうど夏期保育の朝、キュウリは子ども達の登園を待っていたかのように実を落とした。自分達の立てた予想とは違う結果になったが、落ちたキュウリを子ども達に渡すと「すごく重たい。」「なんか回りが柔らかい。」「キュウリの匂いがすごく強い。」と普段、お店に並んでいるキュウリとの違いに驚いていた。食べ頃のキュウリと育ち切ったキュウリ、ナスも切って中を比較してみることにした。それぞれの違いに興味を持って観察する子ども達の様子が見られた。



9月になるとサツマイモのつるもだいぶ伸びてきたので、袋を開けて土の中でどう育っているかを観察する事にした。子ども達には袋を開ける前に伸びたつるの様子を見てもらった。「袋の中はどうなっているのか。」と、子ども達に問いかけると「根っこが伸びている。」「大きくなっている。」と様々な意見が出た。袋を開けてみて、袋からサツマイモが現れると「本当にお芋が出来てた。」「根っこがすごい。」「おひげみたいだ。」と興味津々だったので、保育室に移動してより詳しく観察する事にした。観察していると「葉っぱが少しざらざらしている。」「ここにとげがあるね。」「芋のくぼんだ所から根が出ているよ。」と様々な発見をしていた。発見をクラスで共有した後、観察画を描く活動をした。サツマイモの成長を感じながら描く姿が見られた。



後日、農家の畑に伺ってサツマイモの収穫を体験した。掘ってみると園で育てたサツマイモより何倍も大きかった。子ども達からは「なんでだろう。」という疑問が生まれ、「土の量が多いからかな。」「畑の方が広いからじゃない。」という仮説を立てていた。育つ場所や土の量が野菜の育ちに影響するのではないかと興味を持つ姿が見られた。園に戻りサツマイモの絵本を読んでいると、サツマイモは芋自体が根であり、水に浸けておくと芋から根が生え、つるが伸び、そこから出た葉を土に植えると再び芋が出来る事が描かれていた。子ども達からは、「やってみたい。」と言う声があがったので、当初予定していた芋スタンプ絵の活動を止め、芋を水に浸けて葉や根が成長するかを観察する事に変更した。1週間ほどすると芋から根が出てきた。子ども達は大喜びし、「またサツマイモが作れるね。」と喜んでいた。しかし、葉は伸びずに最後は枯れてしまった。子ども達は、植物を育てることはいつも思い通りにいくわけではないことを学んだ。ここで今回の野菜を育てる活動を終了した。



〈総括〉
野菜の栽培や観察の活動を通して子ども達は植物の成長に興味を持ち、様々な気づきや疑問を持ちながら主体的に活動に取り組む姿ががみられた。収穫した野菜の観察や花の種の発見、図鑑を使い調べる活動などを通して「花が咲いた後に実や種が出来ること」や「野菜によって育ち方や実の付き方が異なる事」等に気が付き、植物の成長への理解を深める事ができた。また、綿を使った発芽の観察やキュウリの変化を観察する活動では「どうなるのだろう」と予想を立てたり、実際の変化を確かめたりしながら物事の事象を捉えようとする姿が見られた。観察の中では、色や形、匂い、触感などにも注目し、五感を使って植物の変化を感じ取ろうとする姿が多く見られた。さらに、友達と気が付いたことを伝え合いながら考えを共有する事で、新たな発見につなげるなど、対話を通して学びを深めていく様子が見られた。今回の活動を通して子ども達が自ら疑問を持ち、調べたり試したりしながら答えを見つけていく探求的な姿が生まれていった。今後も子ども達の気づきや興味を大切にしながら、自然や植物への関心をさらに広げていけるような環境を整えていきたい。
『園周辺の環境を活用し、子ども達が自然に興味・関心を深める中で探求心が芽生える活動を展開する。』
対象:年中15名
〈1回目〉令和7年5月8日(木) 植物を育て、自然に興味を持つ
導入としてヒマワリの種蒔きと芝桜の苗を植える活動を行った。グループ毎にヒマワリの種の観察を行った。石やお米みたいという子どももいたが、多くの子ども達はお花の種だと発言した。何の種なのか問いかけると青色の花やカーネーションなど知っている花を口にする姿が見られた。そこで、ヒマワリの種である事を告げると、子ども達はもう一度確かめるように観察し、黒と白の色や模様に気が付いたり、思っていたよりも種が小さい事に驚く姿が見られた。観察後、園庭に準備していたプランターに一人ずつ種を植えていった。水やりは、輪番で子ども達が行うことにし、ヒマワリの成長を楽しみにする様子が見られた。
次に種ではなく、芝桜を苗から育てる活動を園舎の周りの空き地を利用して行った。まず子ども達は、苗を植えるための土を準備してもらうことにした。作業に移る前に地面に幼虫がいる事を発見し、「芋虫のお家かな。」「ここは土が硬いけれど大丈夫かな。」「柔らかい所に移動した方がいいと思う。」と生き物を思いやり、幼虫に適していそうな場所を考える姿があった。事前に耕しておいた場所に腐葉土と赤玉土を均し、混ぜてもらった。混ぜる中で子ども達は感触を確かめ、匂いを嗅ぎ、「草みたいな匂いがする。」「湿ってる。」「腐葉土は、ごはんなんだよ。」と腐葉土に対して感じた事や知っていることを伝え合っていた。赤玉土に関しても「硬いけど潰れる。」「なんで赤玉っていうの。」「丸い形をしているよ。」と普段遊んでいる砂場や園庭の土との違いに興味や疑問を話し合う姿が見られた。苗を一人に一つ手渡していくと「これ根っこかな。」「ここからお水を吸うのかな。」と普段、土の中に隠れている部分を観察する様子が見られた。花が付いていない苗を見て、「枯れてる。」「お水をあげたらもっと咲くよ。」「枯れて、終わっちゃうんじゃない。」と予想を立て合う場面があった。



〈考察〉
花を育てるという活動を通して、種や苗、土、虫といった自然物を観察したり触れたりした事や、土作りを自分達で行った事で興味、関心が高まったようだった。また、子ども達は花がどのように育っていくのかを友達と期待しながら活動に参加していた。今後は、子ども達の興味、関心を受け取りながら図鑑を活用し理解を深めたり、花だけでなく花の周りにある動植物を観察しながら、子ども達の発見を共有していきたいと思う。
〈2回目〉令和7年5月12日(月) 芝桜の成長を観察する
子ども達が植えた芝桜がどうなっているのか見に行くと「あまり変わってないね。」「芝桜のご飯が足りないのかな。」「お水が足りないのかな。」「芝桜と違う葉っぱが生えてる。」「栄養泥棒じゃないかな。」と考えを伝え合う姿があった。子ども達に見つけた草をどうするのか問いかけると「葉っぱを取れば、芝桜が育つ。」という意見から、みんなで草を抜くことになった。根っこがなかなか抜けなくて困っているお友達に「ゆっくり抜いてみて。」と教え合いながら取り組んでいた。園庭でも芝桜を観察できるようにプランターに4株植えて、併せて育てることにした。



〈考察〉
子ども達は、芝桜の様子からどうすれば良く育つのかを観察から予想を立てて話し合い、納得して行動に移した。草の抜き方についても、何度も引き抜いているうちに、どのように抜けば取れるのかを試行錯誤しながら行っていたと推察される。
〈3回目〉令和7年6月21日(木) 芝桜について知識を深める
芝桜への理解を深めるため、芝桜の種類や咲いていく様子の写真を子ども達に見せる時間を設けた。子ども達には、花の色の種類が様々ある事や花の特徴を知らせ、芝桜の花の咲き方を想像してもらうとヒマワリのように上に伸びてから咲くという考えが多かった。そこで、地面に広がって満開に咲く芝桜の写真を見せると驚く様子が見られ、自分達が植えた芝桜の様子を見に行くことになった。観察すると芝桜の苗は(子どもの)手のひら1つ分だったものが、4つ分に成長している事に気が付いた。写真のように一面に花が咲くことを期待して定期的に世話をすることを決め、雑草を抜く活動を行った。草取りの間にアリの巣を見つけた子ども達は、アリにご飯をあげようと取った草をアリの巣に入れてあげようとしたり、カタツムリの殻を見つけて観察し、中が空っぽなのを確認すると「逃げちゃったのかな。」と周囲の虫にも興味を見せていた。しばらく草を取る中で、芝桜の横に見た事のある葉をみつけた。「これも栄養泥棒かな。」「違う。みたことある。」と、草取りの後に園庭で探すことになった。その葉っぱを園庭の花壇でみつけて大喜びした。それは、子ども達が育てているヒマワリとは違う種のヒマワリだという事が分かった。



〈考察〉
芝桜の写真を見ることでイメージが湧き、芝桜への興味や理解が深まった為、芝桜の様子を見に行くと大きさを手で測ったり、花の様子に着目する姿が見られたのではないか。草を取る中で、芝桜以外の動植物にも興味を広げ、自分の発見や考えを伝え合う場面があった。計画の外にも注目して柔軟な活動を心がけることで子ども達の好奇心を大事にしていきたい。
〈4回目〉令和7年6月26日(木) 芝桜の葉っぱを使ってスタンプ画を楽しむ
芝桜により親しみと興味が持てるように芝桜の葉を使って制作を行った。子ども達は芝桜の葉に緑と黄色の絵具を載せ、自由にスタンピングをした。白い画用紙に2色の色が重なると「きれい。」「沢山押して一杯にしたい。」と楽しそうに取り組んだ。出来上がった画用紙を床に並べ、その周りに集まった子ども達から「お花を咲かせたい。」という意見が上がり、どのように作るかみんなで話し合いをした。「花は、柔らかい紙で作りたい。」「赤のお花がいい。」その他、ピンク、白、水色、紫の色にしたい等という意見も出たので、次回は花作りをすることになった。



〈考察〉
子ども達は、葉っぱスタンプを押していく中で2色が重なったり、混ざり合ったりすることで視覚的な変化を楽しんでいたと思われる。出来上がった画用紙の様子から、芝桜が満開に咲いた時の様子が想像され、次の活動への意欲につながっった。自分達で花を作る相談をしたことから、今までに得た知識をもとに話し合いをすることで、全体での振り返りが出来た。どういった花にするのかという意見を出すだけでなく、知識の共有により全体として理解と関心が深まった。
〈5回目〉令和7年6月27日(金) 芝桜畑を想像し、思い思いの花の色を染紙で表現する事を楽しむ
白の花紙を使って絵の具で染め、芝桜の花にみたてる制作を行った。花紙を染める際に「私は紫とピンクがいい。」「白が見えなくなるように染めるんだ。」「色を混ぜても奇麗だね。」「白が残っていても、そういう芝桜の種類あったよね。」とお互いに染めた花紙を見せ合い、いい所を発見して伝え合う様子が見られた。



〈考察〉
子ども達は、花紙をどのように染めるか話し合いながら、各々の芝桜のイメージを膨らませて取り組んでいるようだった。1色だけではなく他の色も使いながら自分の作りたい花に近づけようと試行錯誤していた。子ども達が花をイメージしやすいように声を掛けたが、それよりも花紙が絵の具で染まっていくことや、色が混ざり合う変化に興味がわいて活動が深まっていたようだった。自然に触れる活動という本来のねらいではない活動にはなったが、子ども達は自然美を表現する活動を楽しむ事ができたと思う。
〈6回目〉令和7年7月3日(木) 染めて作った花を芝桜畑に咲くイメージを膨らませながら糊付けを行う
夏の花を図鑑で調べ、興味を広げる
前回染めた花紙を葉っぱスタンプ画の画用紙に糊を使って貼る作業をした。「花に糊を付けたら、柔らかくてべちゃべちゃになっちゃう。」「手に沢山の糊と花がくっついてきちゃう。」と上手くいかない姿があった。「画用紙の方に糊を付けてみよう。」「見て、楽だよ。」「ふんわりつくよ。」と解決策を考え、工夫を伝え合う様子が見られた。花の配置もランダムにつける子もいれば、きちんと並べてつける子もいた。また、お友達の様子を見て真似をする子もいた。それぞれがイメージをもって取り組み、芝桜の花畑が完成した。香りを嗅いでみる子がいて、みんなで真似をして嗅いでみたが「匂わない。」と残念がっていた。そこに偶然、園庭から蝶が入ってきた。子ども達は「わー、蝶が来た。」「ちょうちょにはお花のにおいがするのかな。」「僕たちも匂いが分かるようになったらいいのに。」と喜んだ。そこで、園庭に行って今咲いている花を見に行くことになった。図鑑を手にしながら子ども達と散策していくと、アジサイ、ナス、キュウリ、トマト、スイカ、アサガオ、マリーゴールドを見つけた。図鑑を開くと「夏の花って書いてある。」「アジサイは、夏の花じゃなくて雨の花だよ。」と自分のイメージと分類との差があったようだ。子ども達は見つけた花を図鑑で調べ、興味が湧いている様子だった。マリーゴールドについては、鮮やかなこの花も夏までなのだと知り、色を取っておくことはできないかとみんなで考えた。すると、「お花をゴリゴリしたらどう。」という意見が出た。すり鉢を使って葉っぱや木の実をすりつぶして遊んだ経験からの提案だった。「ゴリゴリした後はどうする。」との問いに「絵の具みたいにして、絵を描く。」「マリーゴールドの絵の具で、また紙を染めたい。」という意見に子ども達は賛成して、次回の活動が決まった。



〈考察〉
花畑の制作では、各々が持つイメージを膨らませながら協力して取り組む事が出来た。糊の使い方は、普段の工作の経験を引き出して試すに至ったのではないか。工夫を伝えたり、模倣したりする中でそれぞれが知識を積んだり、学んだりすることにつながった。園庭の花を調べる中で、花には咲く時期がある事を知った。咲いている花の色や香りを保存する方法を考える機会になった。話し合いで出たすり鉢を使った方法を試した結果から、子ども達の気づきや学び、興味の広がりを期待したい。
〈7回目〉令和7年7月4日(金) マリーゴールドの色や香りを保存する試みを行う
子ども達の発想から、マリーゴールドの絵の具をつくり、和紙で染め紙にする活動を行った。まず、子ども達は花の形に和紙を切って、染紙の準備をした。次に園庭のマリーゴールドを一人一輪ずつ摘んで、グループ毎にすり鉢を使って花をすり潰した。子ども達は「色が出てきたよ。」「匂いも出てきた。」「いい匂い。」「臭いよ。」「マリーゴールドの匂いは虫が嫌いなんだって。」と感じた事や知っている事を伝え合っていた。すり鉢で擦った花に水を入れると色水が出来上がった。色水に和紙を浸して染めた後、乾燥させるために干した。子ども達は「今は匂いがあるけど、乾いたらどうなるのかな。」と色や匂いが取っておけるのか、出来上がりに期待をもった。



〈考察〉
蝶の登場で花の匂いに興味を持った事から、マリーゴールドの匂いを保存する事にも興味を寄せて活動に取り組めたものと考える。すり鉢で花をすり潰した活動は、マリーゴールドの花を五感で感じる取り組みとなった。色水を作り、紙を染め、乾燥させるという工程を子ども達は、興味を持ちながら、その結果を確認していった。干した染め紙が乾燥したらどうなるのか期待をしているようだった。
〈8回目〉令和7年7月8日(火) 乾いた染紙から、花の色や香りの保存状態を確認する
マリーゴールドの観察画を描き、本物の香りのする花を作る
乾いた染め紙は、淡い色と淡い香りを残していた。子ども達は、「マリーゴールドの色だ。」「いい匂い。」「臭い。」等と感想を話していた。マリーゴールドの花をすりつぶした時の鮮明な色や香りの記憶から、実際の出来上がった物よりも強く印象を受け取っている様に思われた。自分達が試したことの結果に満足している様子だった。芝桜畑の制作では、花の匂いのない事を残念に思い、どうしたら匂いが作れるのかという疑問を持った子ども達だった。今回は、本物のマリーゴールドの匂いと色を移し取った染紙を花に見立てて再挑戦することになった。子ども達は、マリーゴールドを観察しながら「茎の色は緑だけじゃないね。」「青、紫、赤もある。」等発見を伝え合いながら、茎や葉や土を描いていった。観察画に染め紙をどう貼ったらよいか問いかけると「糊で付ける。」と意見が返ってきた。マリーゴールドの花はどうなっているのか問いかけると「丸い。」「ふわふわしている。」という答えが返ってきた。しかし、丸くふわふわした花を糊で付けた和紙でどう表現したらよいのか行き詰ってしまったので、和紙の真ん中だけに糊を付けることを提案した。子ども達も賛成し「本物のマリーゴールドみたいに作れる。」と完成を期待する様子が見られた。染め紙を糊で付けて乾くのを待つことにした。



〈考察〉
実際の茎の様子を観察しながら、自分が思う色を重ね、各々が出来上がりのイメージを膨らませて取り組めたと考えられる。染め紙は、絵の具ではなく実際の花から作った色水を使用したことで、季節が過ぎても作品として花が残る事の嬉しさを感じる事ができたのではないか。
〈9回目〉令和7年7月10日(木) マリーゴールドを観察しながら、糊で付けた染め紙を立体の花に仕上げる
前回、染め紙を観察画に接着するところまで行った。どのようにすれば思ったような花に見えるのかを考えながら取り組んだ。「糊の付いていないところを持って手でくしゃくしゃにするといいよ。」と気が付き、「本当のお花みたいだね。」と発見や感想を伝え合っていた。やり方が分かると、紙を破らないように慎重に紙を立たせながら形を整える姿が見られた。みんな自分が咲かせた花の出来に喜んでいた。全員の作品を床に並べると花畑が完成した。「匂うかな。」と話し合いながら、制作した花畑の匂いを楽しんだ。「よい匂い。」や「臭い。」など様々な感想がでた。活動を子ども達と振り返る中で、マリーゴールドの花を観察していると種がある事に気が付く姿があった。「花が枯れても種をうえたら、新しいマリーゴールドが咲くと思う。」という意見が出た。「夏が終わったら花はどうなってるのかな。」「今咲いている花は枯れちゃうけど、次の花が咲いている。」「全部枯れてなくなっちゃう。」と話し合っていた。季節の流れで花は姿を変えていくであろうと予想する姿があった。



〈考察〉
マリーゴールドに興味を持ち、ゆくゆくは枯れてしまう花をどのように残すかを興味を持って取り組めたと思う。枯れる花に種を見つけ、その種がまた花を咲かせていくことに関心を示していた。マリーゴールドの他にも種があるのではないかと話し合う姿も見られ、夏休みの間に各々が探してみることになった。植物を育てる事や材料として利用する事、観察を通して表現する事を経験する中で、植物に対して子ども達の興味、関心が深まっているように思われる。
〈10回目〉令和7年9月9日(火) 一学期の活動を振り返りながら、夏休み後の植物を観察する
夏休み後の園庭で、マリーゴールドや芝桜、ヒマワリはどう変化しているのだろうか。子ども達と一緒に観察を行った。「ヒマワリは枯れてしまったね。」「種がありそう。」種を手にすると「この種は、前に植えたヒマワリの種とは違うね。」「マリーゴールドの種に似ている。」とヒマワリも種類によって種の形が違う事をを発見していた。枯れたヒマワリを抜いてみると、根が大きく張っていたことに驚いていた。「もう一度植えよう。」という意見が出たが、「枯れてるから無理だよ。」という意見でまとまり、ヒマワリの種を収穫しようという事になった。マリーゴールドはまだ咲いていた。「いつまで咲くのかな。」と疑問をもったので、引き続き観察していくことにした。活動の終わりに用意しておいた種まきを行った。子ども達には、何の植物の種なのかは伝えず、「何が出てくるかはお楽しみ。」と秘密にした。



〈考察〉
子ども達は「夏休みが終わったから、夏のヒマワリは枯れているはずだよ。」「まだ咲いてるよ。」などと予想を立てながら観察する事ができた。枯れたヒマワリを確認して終わりではなく、枯れた様子を観察し、根が大きく張っていたことや種が沢山できていたことを見つけて、意見を出し合う姿があった。子ども達から出る知識や経験と予想から、様々な意見を出し合い子ども達同士で納得して行動する姿は子ども達の成長を感じる場面だった。
〈11回目〉令和7年10月28日(火) 自分達で図鑑を使い、調べることの楽しさを体験する
前回に子ども達には何の植物かを伝えずに、園庭にはない草花の種を蒔いてもらった。この草花が判別出来るほどに成長したので、子ども達に何という植物なのかを答えてもらう事にした。まず、子ども達に二種類の植物図鑑を渡し、シークレットプランツの正体を探ってもらった。草花の様子を観察しながら、図鑑の中から似ている物を探そうとした。「花びらが細長いね。」「色はピンク。」「これかな。」「葉っぱの形がちがう。」「もっと長いよ。」と見比べた情報を伝え合って図鑑の中を探していった。しばらく探していると「これ、花の真ん中の形が一緒だ。」「葉っぱも一緒。」と、見つけた様だった。みんなで導き出した答えは「コスモス」だった。正解であることを伝えると歓声が上がった。「このコスモスはピンクだけど、本にはいろんな色があるよ。」と図鑑からの情報を伝えたり、「いろんな色が咲くといいな。」と花の成長を楽しみにする様子があった。



〈考察〉
知らないものは、本を使って調べる事で知ることができる。さらに得た知識から、想像や考えが広がっていくことを体験できたのではないか。また、友達と一緒に調べたり、探したりすることや調べた知識や考えを共有する事の楽しさを味わったのではないか。子ども達が持つ疑問や関心を自ら調べたり、他者と語り合ったりするきっかけになることを期待したい。
〈12回目〉令和7年11月18日(火) 園庭を散策し、植物の変化や特徴に気が付いたり、季節を感じたりする
ビンゴゲームと称して、子ども達にお題に沿った物を探してもらう遊びをした。ビンゴ表のお題は「緑、オレンジ、茶色、黄色、木の実」と秋をテーマに設定したものと、「ギザギザ、好きなもの、ぽかぽか、顔」と子どもの主観に任せたものを用意した。活動は、グループで行う事にした。見つけたものを入れるバケツと図鑑、虫眼鏡、観察器をグループ毎に持たせた。園庭には、イロハモミジ、柿の木、藤、ムクノキ、サワラ、キンモクセイ、アジサイ、シュロなどの樹木が植えられており、時折落ちてくる葉や木の実を図鑑で調べてみたり、虫眼鏡や観察器を使って細かいところまで観察しようとする姿が見られた。普段見逃してしまいそうな葉の裏についている小さな虫を見つけて喜ぶ姿も見られた。子ども達は、お題にイメージされて見つけたものをビンゴ表に貼り付けていった。最後に、ビンゴ表を見ながらどんなものが見つかったか全体で共有した。「この葉っぱは、緑とギザギザの両方だよ。」「丸いけれど、よく見るとギザギザだよ。」等、自分達の見つけたものを説明してくれた。しかし、「ぽかぽか」は誰も見つける事ができなかった。「ぽかぽか」が想像しやすいように伝えようとしたが、子ども達は思いつく事ができなかった。



〈考察〉
ビンゴゲームで子ども達は、グループで協力しながらお題を探す様子が見られた。図鑑や、虫眼鏡、観察器を持たせることで単にお題を探すのではなく、観察自体にも興味を持ったことから広がりを見せ、様々な発見ができたのではないかと考える。見つけたものを全体で共有した時間では、自分の考えを伝えたり、他者の発見を知る事ができた。「ぽかぽか」は、抽象的で子ども達が理解し難いことや持ち運べる物として捉えていたことで、探索の幅を狭めてしまっていた様に思われる。
〈13回目〉令和7年11月19日(水) 顕微鏡を知り、顕微鏡で見える世界に興味を持つ
子ども達に顕微鏡を使うとどのように見えるのか、テレビに映し出して紹介した。事前に顕微鏡で捉えた画像を使って「これは何だ。」というクイズを行った。花びらや葉っぱ、カメの甲羅等の問題を出していくと「すごい。」「こんなふうになってるんだ。」と子ども達は興味津々だった。顕微鏡で見える世界に興味を持ったようだったので、グループで園庭に行き顕微鏡で見たいものを探す時間を設けた。すると「緑の葉っぱが見たい。」「マリーゴールドはどう。」「木の実にしよう。」「朝顔の種は。」等と話し合いながら集めてきた。顕微鏡を使って拾ってきた自然物を観察すると「模様が見えるよ。」「小さい丸が見える。」「しわしわになっている。」とそれぞれの発見を伝え合い嬉しそうだった。「観察器のレンズを顕微鏡で覗いたらもっと大きく見えるかな。」という発想が出たので、試してみるとさらに拡大して見る事ができ、予想通りになったことを喜んだ。



〈考察〉
顕微鏡が、子ども達に新しい興味を与えたようだ。顕微鏡で拡大する事で、新しい発見や不思議に気が付く事ができたのではないか。もっと大きく見る事ができたらとの意欲の高まりから、観察器と顕微鏡を組み合わせる試みが生まれた。自分達で考え、工夫を試すことを楽しむことができたようだ。
〈14回目〉令和7年11月28日(金) 秋の公園でビンゴゲームを通して自然に触れる
活動場所の公園は春にも散歩で訪れている。公園についたところでビンゴゲームについて確認を行った。ビンゴ表のお題を「緑、オレンジ、赤、茶色、黄色、木の実」と「好きなもの、ぽかぽか、ひんやり、良い匂い、はっぱのしわ」にした。前回同様にグループ活動にし、図鑑、虫眼鏡、観察器、顕微鏡を用いながらお題を見つけに行った。木々が紅葉していることに気が付き「きれい。」「にじみたい。」と言っている子やススキを見つけて「ふわふわだ。」「あったかそう。」「ぽかぽか見つけちゃったね。」と季節の変化に気が付く様子が見られた。公園に移動したことで園庭にはない葉や木の実に興味を持ち、顕微鏡で見て画像に記録したり、図鑑でドングリの種類を調べたりする姿が見られた。拾った木の実の中身に興味を持ち、皮をはいで確認したり、日なたと日陰の違いに気が付いて「ここはひんやりしている。」と土や木の表面に手を当てて確認したり、冷たい風に当たって「風もひんやりだ。」と発見を喜んで伝え合っていた。風が吹くたびに落ち葉が降って飛ばされていき「音が鳴っている。」と音に気がついた。「茶色の葉っぱはパリパリだけど、緑の葉っぱは柔らかいから音がしないのかな。」と考えていた。また、集めた落ち葉を上に向かって投げ、風に流される様子を楽しむ姿が見られた。その他にも「モミジの種、幼稚園で見たことある。」「マツボックリ落ちてる。」「てんとう虫がいる。」「服に何かくっついた。なにこれ。」と種や虫を見つけ、興味深く観察をする姿があった。しかし、「良い匂い」はなかなか見つからなかった。「よい匂いって何だろう。」と問いかけると「お花を探そう。」となり、あたりを嗅ぎながら探し始めた。小さな花を見つけたが「あまり匂わないね。」と移動しながら探していると「見て、あそこ黄色の地面だ。」と不思議がって行ってみた。正体はイチョウの葉だった。すると「うわ、くさい。」「何これ、鳥のうんち。」と銀杏の匂いを嗅いで逃げ出していった。見つけたものは「良い匂い」ではなかった。公園で見つけた自然物は持ち帰って、後日みんなで調べることにした。



〈考察〉
公園という普段と違う場所で行った事で活動に対する意欲が高まった。ビンゴゲームの答えは、お題に照らし合わせて自分が納得するものになる。その幅の広さが安心感として存在し、子ども達をより主体的にしていったのではないか。また、グループで行った事で発見や興味、予想等に対して仲間と共感したり、同意し合うことの面白さを感じていたのではないか。子ども達それぞれが自然物や風や陽の光といった事象、季節というものを五感を通して感じ、自然への理解を深める探索活動になったと考える。
〈15回目〉令和7年12月2日(火) ビンゴゲームを振り返り、持ち帰ってきたものが何であるのか調べる
ビンゴ表を見ながら子ども達と公園での活動を振り返った。お題を確認していると「葉っぱのしわ」に何もない事に気が付いた。「何もない。残念だね。」という感想が出ると、「でも、集めてきたバケツにまだあるかもしれない。」との意見が出た。そこで、ビンゴ表に分類しないで残ったものをみんなで仕分けていくことにした。他のグループが見つけたものにも興味を示し「どこにあったの。」「かわいい。」「なんていう名前だろうね。」等、話が弾んでいた。葉っぱや木の実の特徴を見ながら、図鑑で探す姿が現れた。「それ、ここに載ってるよ。」「こっちの図鑑にあるよ。」と教え合ったり、図鑑を交換し合ったりしていた。見つけられると楽しい様子だった。



〈考察〉
前回採集してきた自然物をみんなで仕分けをすることで、自分達が見つけていないものにも興味を広げる事ができた。グループの枠を超えてみんなで話し合う事によって、発見と知識がより増したのではないか。自分達で調べる事の楽しさや、図鑑の中に見つけた時の喜びを共有する事ができ、子ども達は達成感を味わったように思う。
〈16回目〉令和7年12月12日(金) 見つけてきた自然物を顕微鏡を使って観察し、撮影したものを見せ合う
前回に引き続きビンゴ表を活用した。ビンゴ表の中から、グループで顕微鏡で見てみたい自然物を選んで、観察しながら撮影をした。活動が始まると「目で見るとピンク色なのに、大きくするとカメみたいな色だ。」「六角形に見える。」「お肉みたい。」「虫みたいなのがいる。」と物珍しさに驚く様子が見られた。子ども達が顕微鏡で撮影したデータを印刷して、全員で見ることにした。一枚ずつ見ていくと「マツボックリはこうなっているんだ。」「線路みたいな線があるね。」など新たな発見を興味深そうに話し合っていた。葉の葉脈は「血管みたい。」と声があがった。「葉脈ってなんだろう。」という事になり、図鑑を活用して共有した。なぜ葉は紅葉して、枯れていくのかという事についても触れられていて、子ども達は驚いたようだった。枯れた葉と落ちたばかりの葉を触わりくらべ、その感触を確かめながら違いについて話し合う姿があった。春から取り組んできた活動は、秋から冬を迎えようとしている。冬はどんな季節か問いかけると「雪が降ってくる。」「雪で遊びたいな。」と雪遊びへの期待を膨らませていた。「雪や氷を顕微鏡で見たらどうなっているかな。」と問いかけると「デコボコしてるんじゃない。」「氷だし、ツルツルしてると思う。」という予想をしていた。



〈考察〉
グループで顕微鏡を使って観察したものを印刷する事によって、全員が全グループの観察を共有する事ができた。自分達の発見とは違った意見に触れる事ができ、子ども達にとって興味深い活動になったのではないか。観察する中で疑問が生まれ、疑問について調べることで子ども達の理解が深まっていくように感じた。顕微鏡を使った活動は見えるものの世界を広げ、子ども達のもっと見たい、もっと知りたいという探求心を芽生えさせるきっかけとなった。
〈17回目〉令和8年2月9日(月) 昨日降った雪を顕微鏡で観察する
昨日、降雪があった。子ども達は園庭で雪遊びをしていると、手は冷たくなり濡れていく様子に「雪は解けて消えちゃうね。」「雪はどうして白いんだろう。」と雪に疑問を持った。すると「雪って結晶があるんだよ。」と自慢げに話す姿もあった。「結晶見たいね。」という意見をくみ取り、「顕微鏡で見てみるのはどう。」と提案すると「見たい。」と賛成した。プリン容器の底に雪を載せて顕微鏡で覗いてみたが、白い塊が見えるだけで結晶と呼べるものは見えなかった。「机にこぼれた雪の方が見えるよ。」と気がついた子がいたので、みんな机の上でピントを合わせ始めた。「見えた。」「きれい。」と感激した様子だった。「僕の知っている結晶と違う。」という疑問があがった。そこでインターネットで検索したところ、雪の結晶は121種類確認されているという情報があった。結晶の一覧を印刷して子ども達に見せると、「また雪が降ったら見たいね。」と興味を持った。すると「氷にも結晶ってあるのかな。」という疑問が出た。「氷も見てみたい。」という意見が出たので、寒い日をねらって氷づくりをすることにした。



〈考察〉
雪という自然物に触れる中で生じた疑問から、興味を持って観察活動を行う事ができた。雪というものが結晶の集合体だということを理解したようだ。なぜ結晶にはたくさんの種類があり、どうして生まれたのかという自然への不思議さや美しさを子ども達は持ち帰る事ができたのではないか。また、子ども達は、氷と雪というものが溶けると水になるということから、同じ物質として捉えており、氷に対しても興味を持ったものと思われる。興味を活動に変え、一段深くしていきたい。
〈18回目〉令和8年2月10日(火) 雪が解け行く園庭を見て回る
園庭の雪は時間と共に消えてなくなっていった。子ども達の会話から「なんで雪が消えちゃったんだろう。」「もうないね。」と残念がる感想が聞かれた。「どうして雪はなくなったと思う。」と問いかけると、「太陽のあたるところは解けちゃう。」と答えが返ってきた。あたりを見回すと園庭にところどころ雪が残っていた。そこで、簡単な園庭の配置図を用意して、子ども達と一緒に雪の残っている箇所を記録する事にした。「どうしてここには雪が残っているんだろう。」という問いに子ども達は「寒いから。」「日陰だから。」という意見が返ってきた。隅々まで探して歩いていくと壁の北側、園舎の隅、タイヤの中や木の根元、滑り台のスロープなどに雪が残っていた。配置図にはどこに雪が残っていたのか記された。出来上がった配置図を子ども達と共有した。「雪が残っているところは、どんなところ。」と問うと、「さむい所。」「日陰とか。」と返ってきた。昨日、氷づくりの話が出たことに触れ「氷はどこにできやすいかな。」との問いに「雪があるところ。」と気が付く姿が見られた。「氷ってどんな風に見えるかな。」「つるつるだと思う。」と、氷づくりに期待を持っていた。



〈考察〉
雪が解けてなくなるのを残念がることから、子ども達は雪の融け方に違いがある事に気が付いた。条件によって雪が溶けにくい場所があり、その理由を考えるきっかけとなった。また、雪が融けにくい条件が、氷づくりにも生かせるのではないかということを、子ども達は感覚的に理解したようである。活動は、雪から氷へと移るが、冬という季節を体験を通して学ぶ機会にしていきたい。
〈19回目〉令和8年2月16日(月) 氷が出来る条件を考えながら、氷づくりに挑戦する
前回作った配置図を見ながら、子ども達と振り返った。その後、グループに分かれて氷を作るのに適した場所を探してもらう事にした。子ども達は雪が残っていた場所の特徴を考えながら、意見を出し合っていた。「チューリップの前は。」「タイヤの中は。」「木の裏の方が冷たいんじゃない。」「ここ、触ったら、ひんやりしているよ。」と話しながら場所が決まっていった。場所が決まったところで、小さいバケツに水を入れて置くことにした。「明日、凍っているかな。」と結果を楽しみにしている様子だった。



〈考察〉
配置図から雪が残っていた場所と理由を振り返ったことで、子ども達は考えながら氷が出来そうな場所を選ぶ事ができた。日陰であったり、冷たそうな場所を実際に触れながらグループで話し合っていた。この姿から知識と経験をすり合わせて予想を立てていたと思われる。
〈20回目〉令和8年2月17日(火) 氷が出来る条件を考えながら、氷づくりに挑戦する
昨日置いておいたバケツの水が氷になっているか確かめに行った。「バケツの中はどうなっていたかな。」と問いかけると「冷たかったけど、凍ってなかった。」「全部できてなかった。」と残念がっていた。「朝、少し雪が降っていたのに、どうして凍らなかったんだろう。」という問いかけに、「朝より夜の方が寒いよ。」「夜が寒くなかったから。」という気温を意識した意見が出た。「どのくらい寒かったら凍るのかな。」というと、「冷蔵庫ぐらい寒かったらできる。」「冷蔵庫だとアイスが解けちゃうよ。」「冷凍庫なら解けないから、冷凍庫くらいじゃないかな。」という意見が出た。天気予報を調べると木曜日の夜から冷える予報を見つけたので、また木曜日に挑戦しようという事になった。



〈考察〉
用意しておいたバケツが、全て凍らなかった。そこから子ども達は、夜に凍るほど寒くならなかったからだと考えを導き出した。氷が出来るのには、もっと気温が下がらなければならないことに気が付いた。
〈21回目〉令和8年2月19日(木) 氷が出来る条件を考えながら、氷づくりに挑戦する
前回の振り返りをした後に、氷づくりに再度挑戦した。バケツを置く場所は、グループで話し合って決める事を約束として伝えた。子ども達は「ここ日陰だからいいんじゃない。」「あっちの方が冷たそう。」「前、雪がたくさん残ってたから、滑り台のここがいい。」「そこより地面の方がいいよ。」等と意見を出しながら選んでいた。あるグループは、意見は出るが中々決められない様子だったので「どこが一番冷たいんだろうね。」と声を掛けると「触って比べよう。」と手で触れた感覚をもとに滑り台に話がまとまった。全グループとも前回置いた場所から変わっていた。「どうして置く所を変えたの。」と聞くと「冷たさが違ったら。」「違う場所に置いたら、今度は凍ると思ったから。」等の理由があった。子ども達のが置いた容器はプラスチックのバケツだった。保育者は容器の素材の違いを比較するために、金属製のボウルを用意して一つのバケツの横に置いておくことにした。



〈考察〉
前回、残念な思いをした子ども達は、最も凍りそうな場所を考えるあまりに意見の集約に時間がかかったようだった。それでも、自分達で考え、意見を伝え合い、意見が分かれるとお互いに冷たさを確認するなどして結論を出していった。グループで納得して場所を決められたのは、グループ活動の経験を積み重ねた結果であろう。
〈22回目〉令和8年2月19日(木) 氷が出来る条件を考えながら、氷づくりに挑戦する
朝、登園してきた子ども達と一緒にバケツの中を確認しに園庭に出た。「凍っているかな。」という質問に、子ども達は寒さがそれほどでないと感じたのか「凍っていない。」という予想をみんなが口にした。子ども達の予想通り、この日もバケツの中は全て水のままだった。ところが保育者が置いておいた金属製のボウルの中を確認すると、薄い氷が張っていることに気が付いた。「え。凍ってる。」「なんで隣のバケツは凍ってないのに。」「どうして。」と凍っていることに驚きながらも、疑問を話し合っていた。触って確かめた子が「銀の方が、バケツよりも冷たい。」と気が付いた。バケツとボウルにさわったり、中に入っている水に触れて比較する様子が見られた。
〈考察〉
子ども達はバケツの水は凍っていなかったのに、ボウルの水には薄い氷が張っていたことに着目し、疑問を持った。その疑問をみんなで話しながら、バケツとボウルを観察したり、触れたりしながら容器の素材の違いから冷え方が変わることに気が付いたようだった。
〈23回目〉令和8年3月10日(火) 冷凍庫で作った氷を観察する
前回、子ども達は素材によって冷え方の違いに気が付いた。そこで、お部屋の中にも冷たい物はあるか探す活動をした。紙製の制作物、木製玩具、椅子や机、アルミサッシなどを触っていくと、子ども達は金属製のものが冷たく冷えていることに気が付いた。そこで、「鉄棒は、暑い日と、寒い日、触ってみてどうだったか覚えてるかな。」と問いかけると、子ども達は「暑い日は熱いし、寒い日は冷たい。」「鉄は、暑さで変わるんだね。」と金属のもつ特性に気が付いた。自然の氷づくりが思うように成功しなかったため、冷凍庫で作った氷を顕微鏡で観察した。「結晶ないね。」と雪のように結晶を見つけることはできなかった。「氷の中にブツブツが見えるね。」「白いね。」と観察を続けていると「このブツブツは何だ。」と疑問が出た。「みんなのお家の氷には、ブツブツあるかな。」と問いかけると「ある。」「見たことある。」と答えが返ってきた。適した図鑑が無かったのでタブレットで検索して調べることにした。「水の表面が凍って、逃げられなかった空気なんだって。」と伝えると「すごい。空気がいっぱい入ってるんだ。」と感心していた。最後の挑戦として、金属のボウルに水を入れて園庭に置くことにした。



〈考察〉
今までの経験の記憶から、木やプラスチック、紙といった素材に比べて、金属は熱が伝わりやすい性質だということを理解する事ができたのではないか。自然の氷とは違いが出来てしまうが、氷に結晶があるのか、あるとしたら雪の結晶と違いはあるのかという疑問を確かめる為、人口の氷を使って観察することになった。子ども達にとっては、むしろ製氷機の氷になじみがあり、白いブツブツに対する疑問を共通して持っていたのではないだろうか。幼い子ども達が理解するには、体験や経験に根ざした想像力が必要である。空気が入って固まる過程を理解するには、子ども達の成長を待つ必要があると思われる。
〈24回目〉令和8年3月11日(水) 金属製のボウルで氷づくりに挑戦する
昨日から置いた金属製のボウルを確認したが、残念ながら氷は張っていなかった。ところが、滑り台のスロープの降り口に氷が張っているのを見つけた。昨日の雨が滑り台のスロープに水たまりとして残っていたのだ。子ども達は「どうして滑り台は凍ったのだろう。」と疑問に思っていた。ボウルも滑り台もステンレス製である。「雨が、滑り台を一日中冷やしたからじゃない。」「銀のボウルは、夜に置いただけだったから冷えなかったんだ。」と仮説を立てる姿があった。滑り台にできた氷を顕微鏡で見ることにした。「自然に出来た氷は、ツルツルで透明だ。」「ブツブツは無いね。」と冷凍庫で作った氷との違いを発見していた。



〈考察〉
自然の事象というのは条件がそろわないと発現しない。子ども達は、思うようにはいかないものであることを肌で感じる事ができたのではないか。また、氷が出来た滑り台と出来なかったボウルとの間の違いは何であったのか。疑問に対して仮説を立てて伝え合う姿があった。こうした行為が当たり前のように習慣づいてきたように思われる。科学的思考の入り口である探求心の芽生えを子ども達の中に感じる活動になった。
『子ども達が色の興味を持ち色に対しての探求心を深める事を目的として活動を行った。』
対象:年中21名
〈1回目〉令和6年11月27日(火)
導入としてリキッドフロアマットを使い、色の濃淡に興味を持たせることから始めた。リキッドフロアマットについては説明せず、体験から色の変化に自ら気が付けるように、自由に触れたり足で踏んだりしても良い事だけを伝えた。すると、子ども達はフロアマットの上で飛び跳ねたり、何度も強く叩いて液体の動きを楽しむ様子が見られた。一度活動を止め、体験からの気づきを子ども達から聞く中で、フロアマットを強く押すと色が薄くなることに気がついた発言があった。この発言をきっかけに色の濃淡に注目する子どもが増えていった。その後、活動を再開すると、子ども達はフロアマットを手で優しく触れて色の変化を確かめてみたり、液体をかき集めて濃い色にしようと試みたりする様子が見られた。また、他者と協力しながら薄い色にしようとする姿も見られた。しかし、次第にこの活動に飽き、興味が薄らいでいった。



〈考察〉
子ども達が自由にリキッドフロアマットを使うことで、色の濃淡に興味を持って楽しむ様子が現れた。この活動から、子ども達が色の濃淡に興味を持つきっかけになったのではないかと考えられる。しかし、活動の最後には飽きてしまう子どもがいた為、探求心を深める点においては工夫が必要であったと思われる。
〈2回目〉令和6年12月13日(金)
色の濃淡により親しみ、興味を持つ事を目的として活動を行った。始めに、1回目の活動で子ども達から出た気づきを振り返った。その後、青色絵具の希釈水と水道水を用意し、空のペットボトルの中にこの二つを自由に調合して色の変化を楽しむ活動を行った。本園では普段から自由遊びの時間に色水遊びが出来る様に取り組んでいる。色水作りの経験が多い子どもは色水と水の量を調節して色の変化を楽しみ、自分の好みの濃さの色を作る様子が見られた。一方で色水づくりの経験が少ない子どもは、与えられたペットボトルに入る分だけの色水や水を入れる事を楽しんでいた。そこで、保育者は色水と水を入れていく量を子どもに問いかけながら様子を見ていくと、徐々に自ら分量を考えながら取り組む姿が見られた。全員が自分の濃さの色水を作り終えた後、青色が薄い物から濃い物に並べて色の違いを見て話し合う場を設けた。すると、子ども達は自分がどうやってその色の濃さを作ったのかを説明し始めた。話し合う中で、色水遊びの経験の少ない子どもが色の濃淡に理解を深める姿が見られた。



〈考察〉
前回の活動から得た経験を土台に色水を作ることで、色の濃淡に興味を持って取り組めるのではないかと考えて活動を行った。しかし、1回目の活動から日にちが経ってしまった事で子ども達の中で印象が薄くなり、経験を踏まえての活動につなげる事が難しかったのではないかと思われる。また、自分以外の子どもの作った色水も見比べながらお互いに話し合うことにより、色々な濃さに調整する事を整理できたのではないかと考える。今回の活動で知ったことを子ども達が改めて経験を重ねる事で、より探求心を深める活動が出来たのではないかと考える。
〈3回目〉令和6年12月17日(火)
今までの活動の経験を活かして子ども達で意見を出し合う事で、一緒に楽しみながら色の濃淡について探求していくことをねらいとした。これまでの経験を活かしてグループで話し合い、保育者が提示した色水の色を時間内に作る活動を行った。グループ毎に見本の色水の入ったペットボトルと青色もしくは緑色の絵具の希釈水、水道水、調合に使う空のペットボトルを用意した。始めはどのグループも思いのままに色水を作っていたが、繰り返し作っていく中で提示された色にどうしたら近づけるのか問いを持つようになった。子ども同士で意見を出し合いながら、色水と水の調合の仕方に気がつく姿が見られるようになった。あるグループは話し合いの結果、水が沢山必要であると気がつき、作っていた色水を全部流して最初から作り始めた。また、あるグループは作った色水を少し残して水を加えていき、提示された色に近づけようとする様子が見られた。グループ内に色水と水の分量によって濃淡が変化する事の理解が足りない子どもがいると、どうしたら上手くいくのかを教え合う姿も見られた。



〈考察〉
活動していく中で色の分量を工夫し、話し合いながら探求していく様子が見られた。子ども達が気がつき始めた頃に活動時間が終わってしまい、半分のグループが完成まで行きつくことが出来なかった。活動時間を延長したり、もう一度見本を変えて挑戦する事でより探求を深める事が出来たのではないかと考える。
〈総評〉
全体的に活動の間に期間が空いてしまい、子ども達が継続的に興味を持って活動に取り組む事が難しかったと考える。